老子小話 VOL 622 (2012.10.13配信)

夫善游者溺、善騎者墮。

(淮南子)

 

善く游(およ)ぐ者は溺れ

善く騎る者は堕つ。

 

今回の言葉は一言で言うと、

「猿も木から落ちる」でしょうか。

「水泳の名人は溺れ、乗馬の名人は落馬する。」

私にとって鮮明な印象で焼きついているのが、

あの「野生のエルザ」のアダムソンさんで

野生ライオンとの付き合いの達人が

最期はライオンに食われるという結末です。

動物とは分かり合えない部分もありそれが命取りになる。

決して慢心していたわけではないにしても。

普段能力を発揮している人間でも、

それが発揮できない状況があり得る。

足が痙攣するとか、乗っている馬がパニックになるとか。

つまり、どのような条件がそろったときに

自分は能力が発揮できるのか認識する大切さです。

偶然の運のよさを自分の能力と勘違いすることほど

怖いものはありません。

自分が今まで生きてこられたのも、偶然の積み重ねのお陰です。

色んな人の助けで今の自分があるのだと過去を振返ると、

これから自分が何をしなければいけないか見えてきます。

地球に人類が暮らせるもの偶然のお陰です。

狭い地球で領土争いをしている輩のことを、

蝸牛角上の争いをしていると荘子は呼びます。

かたつむりの角といわれないように

身の程をわきまえたいものです。

 

有無相生

 

 

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