◆老子小話 VOL 620 (2012.09.29配信)

日本列島は実際には、

アジア大陸の南と北を結ぶ架け橋

のような存在だった。

(網野善彦、「歴史を考えるヒント」)

 

昨今歴史問題が取りざたされていますが、

歴史は大局的な見地から本質を観なければいけないと、

網野氏は「歴史を考えるヒント」で教えてくれます。

この本の最初に「環日本海諸国図」が出ています。

これは、日本列島を大陸から見た地図で、

日本海が湖のような内海のように見え、

日本は「天の橋立」のように、大陸の南北を結ぶ

架け橋のように見えます。

日本人の先祖の多くが、この橋を渡って、

中国大陸や朝鮮半島から日本にやって来て

日本固有の文化を育んでいったそうです。

日本の国名自体が、「中国から見て日が昇る国」

というように中国を意識した名前です。

このように中国との付き合いは、国の始まり以来

ずっと続いているので、互恵関係を面子の上に

置くのが当然といえるでしょう。

過去100年の歴史にこだわっていると、数千年の

付き合いの恩恵を見失います。

むしろ、湖のような海の資源をどのように

共同開発していくか考えたほうが得策です。

中国も隣国を侵略した歴史は多々あります。

それにより広大な国土を手にしました。

司馬遷の「史記」を観れば明らかなように、

歴史は政治的に作りかえられます。

過去を作り変えて体制維持するのでなく、

未来を切り拓いて平和維持する方が

余程互恵関係を深められるでしょう。

 

 

有無相生

 

 

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