老子小話 VOL 618 (2012.09.15配信)

無恃其不来、恃吾有以待也。

無恃其不攻、恃吾有所不可攻也。

(孫子、九変篇第八)

 

其の来たらざるを恃むことなく、

吾の以って待つあるを恃むなり。

其の攻めざるを恃むことなく、

吾が攻むべからざる所あるを恃むなり。

 

中国の尖閣侵犯といい原発ゼロ方針といい、

日本の危機管理の姿勢が今問われています。

かの古代中国の先賢はうまいことを言います。

「敵(危機)のやって来ないことをあてにせず、

いつやって来てもいいような備えを頼りとする。

敵が攻撃して来ないことをあてにせず、

攻撃できないような態勢がこちらにあることを

頼りとする。」

原発事故が自分の身近で起きたとしたら

原発を続けて経済を優先しようとは言えないはず。

これまでエネルギー政策を原発依存にしてきたのは、

津波や地震が起こらないことをあてにしたからです。

中国が日本を攻撃することはないことをあてにして、

領海内の島の管理をないがしろにした過去60年間の

政治の顛末が今になって起こっているわけです。

メディアは、次期首相候補を決める自民党総裁選の

話題でお祭り騒ぎですが、国の危機管理を安心して

任せられる首相が選ばれることを期待します。

経済を中国や米国に依存し電力を原発に依存するから、

有事になると首根っこを押さえられるのです。

一極集中ではなく、多様性をもって危機に対処する

ことが何故できないのか不思議です。

生物界も変異で多様性を生み出し、生きながらえているのに。

 

有無相生

 

 

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