◆老子小話 VOL 608 (2012.07.07配信)

散る故によりて、咲く頃にあれば、

珍らしきなり。

(世阿弥、風姿花伝)

 

今日は七夕です。

年に一回しか会えないから、待ち遠しく思う。

それによって愛は深まっていく。

能を大成した世阿弥の名言をお届けします。

花は毎年短い間咲き、散って、また咲く。

年がら年中咲いていたのでは、

目新しさもなく、感銘を与えない。

美しさを一度リセットするから、

次の感動が待ち遠しくなる。

「珍しきなり」とは、新たな美しさの発見である。

七夕に出会う、織姫と彦星もそんな発見を重ねています。

「能も住する所なきをまず花と知るべし」

と名言は続きます。

能の演じ方も、一箇所にとどまり変化が無ければ、

感動は飽きが来る。

花のように、毎回を最後の演技として演じ、

次は場の状況に応じて、演じ方に変化を持たせる。

そうすると、観る人も演じる人も

新たな感動をそこに見出す。

一年後の織姫と彦星は、心変わりをするかもしれない。

でも、出会って気持ちを確かめ合うことが、

次の出会いを約束する一歩になるのでしょう。

 

有無相生

 

 

戻る