◆老子小話 VOL 595 (2012.04.07配信)

さまざまな事 おもひだす 櫻かな

(芭蕉、笈日記)

 

こちらでは桜も咲き出し、お花見の季節となりました。

桜を見て、これまでのいろんな事を思い出すと、

芭蕉さんも言っておられます。

入学式の思い出。

デートの思い出。

野辺おくりの思い出。

出産の思い出。

その場面場面で、桜の花は見事な背景になります。

ですから、桜を見るだけでその場面がふと目に

浮かんでくるのでしょう。

目に浮かぶシーンは、自分の実体験だけでなく、

映画や小説のシーンという追体験も含まれます。

桜の咲く美しさと散る美しさの中に

生の無常を感じることができます。

この無常という言葉は、ゆく河の流れのように

決してもとの場所にはとどまれないという

事を意味しますが、桜は散っても来年の春には

また花を咲かせるように、別の生が廻ってくる

という意味も持っていると思います。

変化していくから新しいものが生まれるわけです。

でも新しいものの中に、古きのよさは廻ってきます。

それを芭蕉は感じているかも知れません。

 

有無相生

 

 

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