◆老子小話 VOL 593 (2012.03.24配信)

天下莫柔弱於水。

而攻堅強者、莫之能勝。

(老子、第78章)

 

天下に水より柔弱なるはなし。

而して堅強を攻むる者、

之によく勝るなし。

 

久しぶりの老子です。

巷には老子の解説本が多いですが、

やはり原文が載っているものがお勧めです。

道(タオ)の教えが詩になっているからです。

「世に水ほど柔らかくてしなやかなものはない。

従って、堅くて強いものを攻めるときに

水より勝れたものはない」

津波の破壊力は、堅強な原発の砦も崩しました。

原発の燃料棒を冷却できるもの、水だけです。

水はどんな隙間にも形を変えてもぐりこみます。

従って、その水が汚染すれば、汚染は水の流れに

乗って環境全体に広がります。

雲に乗って、地下水に乗って、海流に乗って。

生きるための水は、自然がろ過してくれるので

その機能を人間が破壊してはなりません。

水のたとえで、柔軟性の大切さを説いた言葉ですが、

自然界には「柔らかいものが堅いものに勝る」例は

どこでも見られます。

台風で松の枝は折れても、柳の枝は折れません。

血管にコレステロールがたまり柔軟性がなくなると

血の流れが悪くなり狭心症や脳梗塞を起こします。

老子は、生きることは身体の潤いを保つことであり、

それが心の柔軟さを養うと教えます。

水を基本とする心身一如といえます。

 

有無相生

 

 

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