◆老子小話 VOL 588 (2012.02.18配信)

ぼくら人間について、

大地が、万巻の書より多くを教える。

理由は、大地が人間に抵抗するがためだ。

(サン・テグジュペリ、「人間の大地」)

 

3.11大震災からまもなく一年となります。

「星の王子さま」の作者サン・テグジュペリは、

郵便飛行士として空を飛んだ経験から、

この言葉を得ました。

我々も大地の鳴動から多くを学びました。

日本人の祖先は、大地に神が宿ると考えたので

大地の恩恵を受けながら大地と共に生きる

ことを学びました。

一方西洋人は、大地は人間に戦いを挑むものと考え、

その障害を乗り越えるために、

社会を作り技術を発展させてきました。

「人間というものは、障害物に対して戦う場合に、

はじめて実力を発揮するものなのだ」と

テグジュペリは言葉をつなぎます。

夜間飛行のとき、漆黒の眼下に

星かげのようなともしびを見つける。

そのともしびに一つ一つに、

健気に大地に立ち向かう人間の心を感じた。

震災後は闇の大地でありましたが、

復興により少しずつともしびが戻りつつあります。

障害を乗り越えるには、

人間の知恵に大地が挑むと考えたほうが

気が楽かもしれません。

ともしびのような知恵かもしれませんが、

集まれば何とかやっていけそうな勇気が

湧いてきます。

 

有無相生

 

 

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