◆老子小話 VOL 582 (2012.01.07配信)

いわば動と生と一体になったところに、

私は自分の「美」を見出すのです。

(平山郁夫、群青の海へ)

 

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします。

年末瀬戸内のしまなみ街道を廻り、

日本画家の平山郁夫氏のふるさと生口島にある

平山郁夫美術館を見てきました。

http://www.hirayama-museum.or.jp/

氏の青少年期の作品も展示してあり、

どのようにして成長したのか垣間見ることができました。

そこで買い求めた「群青の海へ」(中公文庫)の

24ページの言葉をお届けします。

氏は、子供のときに見た瀬戸内の潮の流れに

美意識の原点を見出している。

潮の干満により海は流れるが、干満の境では

流れがぴたりと止まる。

それが毎日繰り返されることを眺めながら、

何か不可知な力の働きをからだで感じ取る。

「道」の教えを自然の動きから体得しています。

この不可知な力を絵から感じ取られるような表現を

志向してきた画家のように思いました。

動と静が渾然一体となる宇宙の中で、ささやかな生を

連綿と積み重ねていく人間の健気さもまた、

氏のモチーフであるとこの本でわかりました。

少年期の自然との触れ合いは人生観を決定するようです。

 

有無相生

 

 

戻る