◆老子小話 VOL 580 (2011.12.24配信)
善行無轍迹。
(老子、第二十七章)
善く行く者は轍迹(てっせき)なし。
今年もあと一週間となりました。
今年はいろいろと天災人災が多い年でした。
混沌の中にあり、老子の言葉は胸に深く響きます。
「無為にしてうまく進むものは、わだちを残さない」
「わだち」とは、進む車の車輪の跡のこと。。
自然に逆らって無理に進もうとすると、
余分な力が車輪にかかり、車輪の跡が道に刻まれる。
自然に逆らわずに進むものは、どこを通ったかもわからないほど、
進んだ跡を残さない。
これは地面に限らず、水面を及ぶ場合も同じである。
泳ぎのうまい人は、水の動きに逆らわずに進むので、
波を立てず波紋を残さない。
混沌にあって、人それぞれが自己主張すると、
わだちばかりが目立ち、進むものが進まなくなる。
その最たるものが政治家である。
テレビ討論では、ひとの意見も聞かずに自分の意見を通す。
大事なのは、言う前に実行せよということである。
何が自然にとってよいのか、社会にとってよいのか、
自分で考え自分で判断し実行していく姿勢が
「わだちを残さない」やり方と言える。
誰がやったかもわからず、物事がうまく進んでいく。
それが老子の望む復興の姿なのではないか。
有無相生