◆老子小話 VOL 576 (2011.11.26配信)

且方将化、悪知不化哉。

方将不化、悪知已化哉。

(荘子、大宗師篇)

 

それ化するにあたりては、

いずくんぞ化せざるを知らん。

化せざるにあたりては、

いずくんぞすでに化するを知らん。

 

中国思想家「荘子」よりお届けします。

母親が死んだのに涙一つ流さずに

哀しそうな顔を見せない息子に理由を聞いた。

「変化してしまったときは、変化する前のことはわからない。

変化しないでいるときは、変化した後のことはわからない。」

「変化」とは「生から死への変化」をいう。

死んでしまったら、生きているときの苦しみなど

わからなくなっている。

死なずに生きているときは、死後のことはわかない。

死後に極楽や地獄に往くのは、生きている人が

考えたことであるからである。

息子は、母親は変化を遂げたと考えて、

自然と一体となった母親をただ見送っている。

「変化」は、死に限らず日常茶飯事に起きる。

変化を恐れていると、現状維持に四苦八苦する。

思い切って変化してしまうと、

変化を恐れていた自分がこっけいに思える。

現状にとらわれ、それ以外の世界が見えなかった。

変化しないと、変化の先はわからない。

荘子の「変化」の言葉は含蓄がある。

 

有無相生

 

 

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