◆老子小話 VOL 573 (2011.11.05配信)

運命や宿命とは何かと言われれば、

主としてその人と母親との関係で

形成されてきたものだと思うのです。

(吉本隆明、「真贋」)

 

今年も残すところふた月となりました。

「いい生き方とは何か」という問いに対し、

運命や宿命に素直に従っていく生き方と

吉本氏は言う。

人間、死ぬ間際まで思い起こすのは母親であり

父親ではないと氏は断言する。

乳幼児から15,6歳までの母親による子供の

育て方で、「育ちの良さ悪さ」が決まる。

わが身を振返ると、天真爛漫さは母親の影響が

大きいかと納得する。細かいことはこだわらず、

人生楽しむためのチャレンジ精神を学んだ。

これを育ちの良さ悪さでいえるかはわからないが、

この時期生活時間の大半は母親と接しているので、

いやでも応でも母親の影響を受けて、それが人生を

運命づけるといってもよいのかも知れない。

母親から離れた人生で、この影響を修正できるわけですが、

運命を決める性格的な部分は15,6歳までに決まるという。

苦しい幼年を送った人が、お金持ちになろうとするのは、

その人の運命に逆らわず立派に生きていることになります。

それを成金とか拝金主義とか他人が非難するほうがおかしい。

母親が、「お金さえあったら苦労はしない」と子供の前でいえば、

お金が運命を変えると子供は感じるだろうし、母親が「貧乏でも

家族の絆でくじけない」という姿を見せれば、子供は絆を大事に

するようになる。どっちにころんでも母親の影響を受ける。

すでに手遅れのかたも多いでしょうが、運命を納得した上で

先の人生を変えていく判断は可能じゃないでしょうか。

 

有無相生

 

 

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