◆老子小話 VOL 570 (2011.10.15配信)

心虚則性現。

不息心而求見性、

如撥波覔月。

(菜根譚)

 

心虚なれば則ち性現る。

心息(や)めずして性見んことを求むるは、

波を撥(ひら)いて月を覔(もと)むるが如し。

 

南風が吹き荒れる音を聞きながら菜根譚を開く。

物事の本質(性)が見えないのは、見る自分が

風を起こして、心を波立てているからだと教える。

「波をひらいて月をもとむる」とは、

波をかきわけて水面の月を追い求めると説明される。

死の恐怖も同じことかも知れない。

死は自分が永遠の眠りにつくことである。

毎朝目が覚めることは誰も疑わない。

だから寝る前に恐怖におののくことはない。

ところが死となると不安になる。

心が揺れ動き、死の本質が見えなくなる。

毎日、一瞬の死(眠り)を経験して朝を迎えると

するなら、死はたまたま眠りから覚めなかった

にすぎない。

(死)は暗い夜道(人生)を照らしてくれる。

月があるから、ひとは明るいうちに先に進める。

Steve Jobs氏の”Death is Life's change agent.”

(死は、人生を変えてくれる原動力である)

の言葉は、菜根譚同様、死の見方を変えてくれる。

忙しい毎日ですが、心を休ませる時間は必要です。

 

有無相生

 

 

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