◆老子小話 VOL 552 (2011.06.11配信)
「わたしたち自身を発見する」のは
即ちわたしたちの中にゐる
わたしたちの祖先を発見することである。
(芥川龍之介、十本の針)
雨の降り続く一日になりそうです。
いまどき芥川龍之介の本を読む人は少ないかもしれませんが、
震災後の状況を表わす言葉を発しています。
地獄の暗闇から復興の光を見出せるのは、
わたしたちの中にいる祖先のパワーです。
昔から何度と無く襲ってきた自然の猛威に抗うことなく、
じっと我慢して住み着いてきた祖先のパワーこそ、
いまわたしたちがここに存在している証です。
自然と共生することで築いた無常感が
日本人のパワーであり、復興の光だと
宗教学者の山折哲雄さんも語っておられます。
西洋では自然に抵抗することで科学が生まれた。
日本では自然に従い耐えることで「無常」を身につけてきた。
なぜわたしたちが試練を乗り越えられるのかを考えると、
われわれの起源に行き着くと芥川龍之介さんはいう。
しかし原発の放射能は、人類が生み出したものである。
理性の産物に手がおえなくなったとき、
感性に頼って人類は道を見つけるしかなくなる。
未来の人類の生存を脅かすような選択だけは避けたいと考える。
有無相生