◆老子小話 VOL 548 (2011.05.14配信)

All women dote upon an idle man

Although their children need a rich estate;

No man has ever lived that had enough

Of childrens gratitude or womans love.

(W.B.Yeats, Vacillation)

 

アイルランドの詩人イェーツの「動揺」の一節です。

退屈きわまる日々を、財産欲と出世欲で満たし、

活力を見出せと言ったあとに、出てくる言葉です。

財産欲と出世欲は空しいだけだと老荘は言いますが、

真逆の生きかたです。

「およそ、女は怠惰な男に惚れるもの。

たとえ彼女の子供が豊かな財産をほしがるにしても。

子供の感謝や女の愛を十分に得た男などいたためしがない。」

を忘れずに生きればよい。

逆説的に老荘の言葉を支持しています。

愛も感謝も、財産と地位の周りでうごめくもの。

真の女の愛は、無一文の男に注がれる。

富と出世をもとめて何になる。 「動揺」には

Let all things pass away.(万物を去らしめよ)が3回出てくる。

これは、Leave things that seem.(表面的なものは捨てておけ)

ということでもある。 なぜなら、万物は有無の間を変化するからだ。

富や出世の有無にこだわっても、おのれの生(有)についた垢と同じで、

死(無)ともに消えるもの。

この思いが、詩「動揺」を、

Between two extremities man runs his course

 (有無という二つの極の間で、ひとはおのれの道を走る)

ではじめさせている。

イェーツは、アイルランドの老荘的詩人である。

 

有無相生

 

 

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