◆老子小話 VOL 546 (2011.04.30配信)
日方中方睨。
物方生方死。
(荘子、天下篇)
日は方(まさ)に中し、方に睨(かたむ)く。
物は方に生じ、方に死す。
ゴールデンウィークに突入ですが
「荘子」でも読んではいかがでしょうか。
「太陽が中天に来たときには同時に傾いている。
万物が生まれたときには同時に死んでいる。」
無限の時間の中では、太陽が昇っていても
もう沈もうとしていることに等しい。
生き物が生まれたことは死へ向かうことに等しい。
未曾有の大災害と言ったって、日本の歴史の中で
先祖は皆経験したこと。
地に足を着けて頑張ろうよと呼びかける言葉です。
もうひとつの捉え方は、言葉の問題と考える。
中(まんなか)があるから、縁(へり)がある。
ある人が、これは真ん中であるといった途端に、
縁(へり)をすでに規定していることになる。
これが生であるといった途端に死を規定している。
言葉で境界を作り、二つに分けることが無理なこと。
境界は人により場所により時間により揺らいでいる。
津波は、陸と海の境界を一瞬に動かし、全てをさらった。
穏やかな海と押し寄せる海は、海の二面性を語る。
言葉で安全安心を言っても始まらない。
人が規定する限り、境界は揺らぐからである。
大事なのは、揺らぐ現実を見つめ、どう生きるか考えるしかない。
有無相生