◆老子小話 VOL 542 (2011.04.02配信)

天之蒼蒼。 其正色邪。

其遠而無所至極邪。

(荘子、逍遥遊篇)

 

天の蒼蒼たるは、其のまことの色なるか。

其の遠くしてきわまる所なきがためか。

 

まだ桜は蕾ですが、4月に入りました。

春の空は朧ですが、荘子は天の蒼さを問います。

「青々とした遥かな天空の青さは本当の色なのか?

それとも、遠く極まりなきが故に青く見えるのか?」

空高く上っても、蒼い物質は見えません。

空が青い色であるわけではなく、

太陽の光が空を通るとき、青色の光が沢山散乱されて

目に入ってくるために青く見えるようです。

従って、地上から見ても、スペースシャトルから見ても、

空の色は蒼く見えるわけです。

この光を散乱するものは、大気の分子や水蒸気や塵です。

一方、光と地球を取り囲む大気や水蒸気や塵は、

地球に生命を誕生させ、人類を生存させている源です。

福島原発で汚染された放射能塵は、蒼い大気に乗り、

世界各地に散らばります。

放射線量の大小はとにかくとして。

荘子は、空の青さに、地球規模の生命環境を見ていたようです。

というのは、上の言葉の前に、荘子は地球を、

「野馬(かげろう)と塵埃(ちり)と生物の息を以って相吹くところ」

と考えていたからです。

クリーンな空の蒼さをいつまでも保てるように、

地球規模で復興を考える試練を日本は与えられました。

 

有無相生

 

 

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