◆老子小話 VOL 540 (2011.03.19配信)

ごくろうさまだった、雪のひとひら。

さあ、ようこそお帰り。

(ポール・ギャリコ、雪のひとひら)

 

大震災がおこってはや一週間。

大津波によってかけがえのない命を

落とされた方々への鎮魂の言葉をお届けします。

「雪のひとひら」(矢川澄子訳、新潮文庫)は、

ひとりの女性の誕生から死に至るまでの、

女の一生を描いた物語です。

この言葉は、物語の最後で、雪のひとひらに捧げられる。

雪のひとひらは、雲の中で生まれ、地上に落ち、

水に流され、海まで運ばれ、水蒸気となって、雲に帰っていく。

その「流れて」生きている限りは、休みなく活動を続ける。

いろいろな人の笑顔が見ながら日々を過ごしてきた。

最後に雪のひとひらは、「この宇宙のすばらしい調和」を思い、

「この身もその中で一役果たすべく世に送られた」と気づく。

Well done, Little Snowflake. Come home to me now.

ご苦労様(Well done)といえるには、自分の一生を

見守ってくれる存在がいるということである。

それが、天に昇った魂なのか、道なのか神なのかは知らない。

与謝野晶子の歌を引く矢川澄子さんのあとがきも見逃せません。

 

有無相生

 

 

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