◆老子小話 VOL 536 (2011.02.19配信)

そこに祀られているのが人間の霊であるならば、

その人間の霊を、柱に依って天に送り届ける。

(梅原猛、日本の深層)

 

年金、少子化、赤字国債、無縁社会と、日本の未来は

展望が描けない状態にある。

しかし、日本人の祖先がたどった道を振り返ると

日本人の魂が見えてくる。

それを検証する本が、梅原さんの「日本の深層」

(集英社文庫)である。

縄文土器の文様は、シランパの神(木の神)を土器に

注入する文様と考える。

上の言葉は、日本各地で見られるストーンサークルの

中心に直立するする石柱の意味を物語る。

地と天を媒介する柱によって、天の神は降臨し、

地の人間の霊は天に昇る。

むしろ後者の意味が大きいとする。

石には神が宿る。 木にも木の神が宿る。

日本人の魂は、日本人を取り囲む自然の

の至る所に宿っている。

天の運動は、昼(生)と夜(死)の繰り返し、

夏(生)から冬(死)の永遠の繰り返しと考え、

魂の昇天は無限の円運動への参加を意味する。

そういう古代人の魂を我々は忘れていた。

自然への畏敬はひとの心を強くする。

東北人には、自然への畏敬が宿る縄文の魂が

宿ると梅原さんはいう。

この本を読んで、日本には独自の宝物がちゃんとあり、

それを忘れないことがアイデンティティとわかり、

何だか元気が沸いてきた。

 

有無相生

 

 

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