◆老子小話 VOL 527 (2010.12.18配信)
己が分を知りて、
及ばざる時は速やかに止むを
智といふべし。
(徒然草、第百三十一段)
兼好法師さんの昔から、身の程を知り、
能力が及ばないときは速やかに止めるのが
知恵というものだと語り伝えられております。
及ばないのに強いて励むのは誤りです。
人間、分を知るのは意外と難しく、まだまだ
やれると思いこみ、度が過ぎて病に至ることが
あります。
からだの病だと症状が自分でもわかりますが、
心の病になると気づかず深入りしてしまう。
「身をやぶるよりも、心を傷ましむるは、
人を害う事なほ甚だし」(第百二十九段)ともいう。
まあいくらやっても駄目なら諦めもまた肝心で、
気分転換して次の目標を見つける方が、
健康的というものである。
古典を読むと、昔も今も、ひとは、身の程を知らずに
いのちをすり減らす有様が見て取れます。
宝くじで一発当てるのも夢ですが、くじ買う金で
歳末募金して、ばらまき政府よりましな自分を
誉めてあげるのも夢かもしれません。
まあ、ひとそれぞれですが。
有無相生