◆老子小話 VOL 516 (2010.10.02配信)
The web of our life is of mingled yarn,
good and ill together.
人の一生は、善と悪とをより合わせて編んだ網である。
(シェイクスピア、「終わりよければすべてよし」)
芸術の秋にちなみシェイクスピアから拾いました。
人生は良いことも悪いこともいろいろあって、
味わい深くなるわけです。
ただ最後に、織り上げた網を見ると、
細かな網目は見えず、全体の調和として
網(その人の一生)の味わいが現れる。
善の糸の連続も、悪の糸の連続もありません。
どの国家にも、この言葉は通じます。
過去の侵略のもとに今の繁栄があるわけです。
今、正義と自由の象徴アメリカは、新大陸にいた
先住民を虐殺し黒人奴隷を輸入してこき使った。
スペインはアステカやインカ文明を滅ぼし、世界に
カソリックとスペイン語を広めた。
中国は遊牧民族に侵略されながら文化に取り込み、
領土を拡大し、欧米・日本の帝国主義に侵略を
受けながら共産主義で国をまとめ、アメリカに次ぐ
大国に成長している。
日本は、昔から中国文化の恩恵を受けながら成長し、
明治維新後、列強帝国主義に加わり東南アジアで
侵略を行い、原爆を被爆し平和国家に目覚めた。
人間も国家も大事なのは、自分が何をやってきたのか
振り返り、他の国が同じ過ちを繰り返さないように
警鐘することである。
シェイクスピアは、苦しい時は次の好機のために準備し、
好機のときは奢らず、次の難事に備えようと教える。
しかし、人も国家も、隆盛は続くと思いこんでしまう。
有無相生