◆老子小話 VOL 508 (2010.08.07配信)

路従平処嶮。

人向静中忙。

(大川)

 

路は平処より嶮しく

人は静中に向かって忙し。

 

暑中お見舞い申し上げます。

広島、長崎の平和記念式が終わり、

核廃絶へ一歩進んだように見えます。

今回は、禅林句集(岩波文庫)からです。

この句集は解釈が載っていないので、

勝手な私見となることをお許しください。

路は、生きる路でも、核廃絶の道でも、

平坦であるはずはなく、嶮しい路です。

生きる路なら、病・老・死が待ち構えます。

そこで路を歩く人は、静中(心の平穏)を

求めて、忙しく動き回ります。

この解釈は、路の嶮しさが原因で、

人は忙しくなるという因果を示す。

もう一つの解釈は、路の嶮しさは

結果で、忙しさが原因と考えます。

「忙」は、心を失う(亡くす)こと。

心を失うから、路が嶮しく見える。

どちらの解釈も正しいでしょう。

路は歩かなければ路ではありません。

歩いて、忙しくするか嶮しくするかは、

歩く人が決めるからです。

核廃絶の路も、人が生きる本来の路と

考えるなら、実現の勇気が湧いてきます。

 

有無相生

 

お詫び:

8/7の時点では、長崎の平和祈念式は終わっていませんでした。

8/9に行われましたことをお伝えし、筆者の全くの勘違いにより

読者の混乱を招いたことを謹んでお詫びします。

なお、報道等では、平和記念式という表現が使われていますが、

平和を祈念する意味からも、ここでは平和祈念式という表現を

とらせていただきます。

 

 

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