◆老子小話 VOL 493 (2010.04.24配信)

為人多病未足羞。

一生無病是吾憂。

(菜根譚)

 

人となり多病なるは未だ羞ずるに足らず。

一生病なきは是わが憂なり。

 

今回は、菜根譚よりお届けします。

ネタ切れ時のの奥の手です。

「生まれつき多病なのは羞じるにあたらない。

一生病気にかからず、病人の心を知らぬほど

私の心配の種である。」

病気にかからないと、病人の気持ちはわからない。

医者が癌を患うと、初めて癌患者の苦しみがわかる。

今までの自分の診療は何だったのかと。

だから生まれつき病気がちでも羞じることはない。

正岡子規は、結核にかかって優れた俳句を残している。

私は、幼いころに火傷をして首と肩にケロイドを作った。

傷は未だに残っているが、家族と医者の協力で

ひどい傷には至らなかった。

傷を見るたびに、周囲の情けを思い出す。

ひとは挫折をしないと立ち直り方を学ぶことができない。

病も挫折も同じこと。

苦しんでいるとき、誰かに助けられるものである。

助けられたときの有難さが身に沁みる。

そして今度は、誰かのために働いて恩返しする。

それが病からの立ち直りであると思う。

病を繰り返して、ひとは大きくなっていく。

 

有無相生

 

 

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