◆老子小話 VOL 491 (2010.04.10配信)
善人者、不善人之師。
不善人者、善人之資。
不貴其師、不愛其資、雖智大迷。
(老子、第27章)
今回は、久し振りに老子をお届けします。
「善人は不善人の師、不善人は善人の資なり。
その師を貴ばず、其の資を愛せざれば、
智といえとも、大いに迷わん。」
師というのは先生、資というのは助け(補佐)です。
不善人は悪人ではなく、善(智)が身につかない人です。
この世の中、善人と不善人が互いに助け合っていて、
互いのよい所を学ばなければ、
どんなに智者であっても愚か者と同じという。
先生と生徒なら、生徒は、いくら先生が未熟でも、
教えを授ける師として尊敬し、先生は、いくら生徒が
未熟でも、教え方の良し悪しを映し反す助けとして
大切にする関係をいいます。
先生と生徒は、お互いが鏡である関係です。
親と子も同じ関係、国家と国民も同じ関係です。
一方が善で他方が悪と考えていると、
責任のなすりつけあいとなり、事態は好転しません。
相手の反応は自分の行動の映し返しと考えれば、
好転させるには何をすべきか見えてきます。
鏡の関係が見えてくるのが道というわけです。
老子の言葉には、普遍の真理が秘められます。
有無相生