老子小話 VOL 470 (2009.11.14配信)

有生必先無離形。

形不離而生亡者。

有之矣。

(荘子、達生篇)

 

生を有(たも)つには

必ず形を離るるなきを先とす。

形は離れずして

生亡(うしな)わるる者はこれあり。

 

生命を維持しようとすれば、

形(肉体)を無視しないことを第一とする。

しかし、肉体は維持されていても、

生きながら魂が失われた者もいる。

 

人生を営むにはまず健康である。

健康を保つためにジムに通い、あるいは

ワォーキングに精を出す。

心身は一体であるから、身体を鍛えることで、

心もまた鍛えられる。

しかし世の中には、強靭な肉体を持っていても、

心が蝕まれている人は沢山いる。何故か?

世間から受けるプレッシャやストレスで、

心が砕けてしまうからである。

「このような状況を脱するには世を棄てるしかない」

(莫如棄世)と荘子はいう。

世とは、世俗的な価値観をいう。

つまり、自分を取り囲む世界の価値観を棄て、

おのれの生を自然の営みにあわせていく。

そうすると心は自然のエネルギーによって導かれ

本来の生を全うできるという。

人間は、世から孤立して生きることはできないが、

世を棄てた者同士が助け合って生きていけばよい。

 

有無相生

 

 

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