◆老子小話 VOL 458 (2009.08.22配信)

縦欲之病可医、

而執理之病難医。

(菜根譚)

 

縦欲(しょうよく)の病は医すべくして、

しかも執理の病は医し難し。

 

欲に凝り固まった病は治せるが、

理屈に凝り固まった病は治せない。

 

欲とは、心の向かう対象だから、

対象を除くか、対象を変えていけば

何とか抑えることができる。

何かを欲しい気持ちが起こったときに、

今は手に入れるのが難しいから、

別のもので我慢しようと思うこともできる。

でも理屈は、心の動きを決めるものだから、

心がそれに従うか従わないかで全てが決まる。

コンピュータのプログラムのように、

思考の流れを左右する。

理屈に凝り固まるとは、上の例で言えば、

欲の対象を変えようとしたとき、

「欲しいと思ったのは何か理由があったはずで、

それを変える妥当な理由があるのか」と思うこと。

心の赴くままに身を任せることができない。

インターネット、ケータイなどの情報通信手段は、

全てプログラム(理屈)で動いている。

でも、その上で行きかうひとの心は気まぐれである。

メールの返事が来なくたって、「なぜ来ないんだ」と

イライラせずに、ほんとの手紙を書いて出せばよい。

気まぐれで動く相手の心を思い浮かべれば、

済む話である。

 

記:有無相生

 

 

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