◆老子小話 VOL 447 (2009.06.06配信)
凡人有術不能行者有矣。
能行而無其術者亦有矣。
(列子、説符第八)
凡そ人には術あるも行うこと能わざる者あり。
能く行えども、其の術無き者またあり。
いったい人にはその秘訣を知っていても
実行することができない人もある。
実行できても秘訣を知らない人もいる。
勉強や記憶や投資の秘訣を教える本が
次から次へと出版されている。
そんなハウツー本を読んでも
秘訣をマスターできるわけじゃない。
秘訣を言葉のまま覚えても、
継続的に実行しなきゃ意味が無い。
「列子」のたとえ話は以下のように続く。
算数の達人を父に持つ息子が
算数の秘訣を遺言として託された。
息子はその遺言をしっかり覚えているが
算数はちっとも上達しない。
ある男が、その息子から達人の遺言を聞いて、
遺言どおりに実行したら、算数の達人となった。
達人の息子とその男の違いは何であるのか?
そもそも、万人に通じる秘訣など無く、
自分にあった方法を自分で見つけるしかない。
たまたま、その男は秘訣を実行できる力を
自分のうちに持っていたからであろう。
記:有無相生