◆老子小話 VOL 436 (2009.03.21配信)

常の心と云うは、

胸に何事をも残さず置かず、

あとをはらりはらりとすてて、

胸が空慮になれば、常の心なり。

(柳生宗矩、兵法家伝書 活人剣下)

 

江戸初期の剣の達人、柳生宗矩の

剣の極意から言葉を拾いました。

武士の時代には、刀で戦うので、

一瞬の心の迷いは死を意味するわけです。

極意は、技術よりは心の備え方が主になる。

「常の心」がなければ、人前で物を書くときにも、

手が震えて上手く書けない。

胸を空虚にして、戦いに臨まなければ、

刀がうまく動かない。

「兵法つかふに兵法の心のかずば、病気也」

兵法を使うという執着心を去らなければ、

兵法はうまく使えないということである。

「はらりはらりとすてて」という表現は、

刀で一枚一枚切り落とす様子で、

思い切りよく刀を振り抜くことで得られます。

昨日の4度目のWBC韓国戦での、

侍ジャパンは、まさしく虚心で戦う武士でした。

戦いの究極は、心の戦いとなりましょう。

如何なるときも、「常の心」を保てれば、

大きな失敗はないはずです。

ひとは、心乱れるときに思いがけないミスをします。

昨日の韓国戦では、選手の表情やプレイに

心の様子を見ることができ、とても面白かったです。

選手の心を統括する原監督の采配も

素敵でありました。

アメリカ戦もこの調子で行きましょう。

 

記:有無相生

 

 

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