◆老子小話 VOL 429 (2009.01.31配信)

知者楽水、仁者楽山。

知者動、仁者静。

(論語、雍也篇)

 

知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。

知者は動き、仁者は静かなり。

 

芳賀徹氏の「詩歌の森へ」(中公新書)で

目にとまった、山水思想のもとになる言葉を

紹介します。

孔子は、「知は人を知ること、仁は人を愛すこと」

と考えた(顔淵篇)。

山水は、孔子の論語では人徳のたとえでしたが、

老子は、自然のエネルギーの流れにたとえた。

水は、高きから低きに流れ、山を削り海に流す。

山は、天空にそびえ雲を生み、水を地に振り落とす。

山水はともに動いており、その動きは太古の昔から

変わらず、ゆっくりと静かに続いている。

その動きは、自然のエネルギーの法則に従う。

山水を支える地球は又、宇宙の中の一粒として、

宇宙のエネルギーの流れに従い、生成し消滅する。

ひとは人の社会で生きるから、孔子のように、

先ずは人の徳を具えるのが必要でしょう。

でも、ひとは同時に自然の中で生きるから、

自然で生きる他の生物の生に学ばなくてはならない。

老荘流には、「知は自然を知ること、仁は自然を愛すこと」

となるでしょう。

水墨で描かれた山水画を見て心が安らぐのは、

こせこせした日常から離れ、一瞬の間でも、

仙人の心に遊ぶことができるからでしょう。

 

記:有無相生

 

 

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