◆老子小話 VOL 427 (2009.01.17配信)

太陽の下、人間にとって

飲み食いし、楽しむ以上の

幸福はない。

(旧約聖書、コヘレトの言葉)

 

コヘレトは、エルサレム王ダビデの子です。

彼は、伝道の最後に、

「神を畏れ、その戒めを守れ」と結論する。

神がその幸福を日々の労苦に添えてくれるから。

神を道に置き換えると、老子の教えとなるようです。

老子は、自然の教え(道)に畏敬を払い、

その原則を守れば、その生はあやうからずという。

コヘレトは、「知恵が深まれば悩みも深まり、

知識が増せば痛みも増す。(中略)

知恵と知識と才能を尽くして労苦した結果を、

全く労苦しなかった者に遺産として残すのは

空しい」という。老子も、道に畏敬を払い従えば、

おのずと余計な知識は減っていくという(48章)。

でも、コヘレトの言葉が現代にちっとも生きていない。

ダビデやコヘレトを先祖に持つイスラエルが、

ガザでパレスチナ人民を大量殺戮している。

彼らの神は、ユダヤだけを守る神なのか?

コヘレトの説く幸福は、イスラエルの幸福なのか?

老子の道はもっと大きい道である。

中東に暮らす人たちを分け隔てなく見守る道である。

そこでの幸福は、その地で暮らす全ての人たちが

飲み食いでき、生を楽しめることであろう。

自国だけの平安は有り得ない。

人間の愚かしさは、自らが作った宗教の教えを

実行できていないところでありましょうか?

 

記:有無相生

 

 

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