◆老子小話 VOL 425 (2009.01.03配信)

人性之善也、

猶水之就下也。

(孟子、告子章句上)

 

人性の善なるは、

猶水のひくきに就くがごときなり。

 

新年あけましておめでとうございます。

今年は丑年なので、モウシ(孟子)から始めます。

人間の本性が善なのは、

水が低い方に流れるのと同じという(性善説)。

人間は生まれながら善を行うという考えである。

でも、世の中の出来事を見ていると、

善を求めての行動か疑わしくなる。

孟子は、これら出来事は、「勢い」(外力)で

本来の道を外れたという。

米の金融不況に端を発した派遣斬りは、

「勢い」で起きたことになる。

企業は本来従業員を大事にするのが善である。

グローバル資本主義という「勢い」で、善は否定された。

国際競争においては、従業員は歯車であり、

不要になれば切り捨てられる。

善を見誤ると、性善説は性悪説に斉しくなる。

これに対し、老子は、善・不善と分けることは

誤りという。そもそも、善・不善は時代とともに変わり、

それに頼っていては、身があやうくなるという。

不変の善は水のごとしというのが先週の言葉。

大国も大企業も謙虚に振舞えという。

主義や方針を押し付けるのではなく視線を低くする。

そうすれば、善・不善で区別できないものが見えてくる。

 

記:有無相生

 

 

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