◆老子小話 VOL 421 (2008.12.06配信)

第一に食ふ物、第二に着る物、

第三に居る所なり。

人間の大事、この三つには過ぎず。

(中略)ただし、人皆病あり。

病に冒されぬれば、その愁忍び難し。

医療を忘るべからず。

薬を加へて、四つのこと、

求め得ざるを貧しとす。

(吉田兼好、徒然草、第123段)

 

堀田善衛氏の「方丈記私記」(ちくま文庫)に

徒然草のこの段が紹介されています。

この本は、「方丈記」を多面的に分析し、

長明の人柄をえぐりだした面白い本です。

堀田氏は、兼好が医療を高く評価した

最初の文学者だと言っております。確かに。

衣食住は生きる上で重要な3要素ですが、

人間は必ず病にかかるから、

そのときの愁いを除くための医療は、

第四の要素であると、兼好は指摘しています。

大病院の救急医療拒否が問題となっています。

兼好なら、この最低要素に事欠く日本は

「貧しい国」と評価するでしょう。

GDP世界2位を自慢するお役人ですが、

福祉・医療を後回しにしたつけには目をつぶります。

豊かさを「モノ」で測っているのでしょう。

天下り先に税金を使うのに懸命で、

国民が何を求めているか気づきません。

お役人の言うがままの政治家の無能も一因です。

総理大臣は国民投票で選ぶべきだと思います。

国のリーダを選んだ責任は国民にあるからです。

もう文句は言えません。

 

記:有無相生

 

 

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