◆老子小話 VOL 420 (2008.11.29配信)

聴其言也,観其眸子、人焉廋哉。

(孟子、離婁章句)

 

その言を聴きて、その眸子(瞳)を見れば

人焉(いずく)んぞ廋(かく)さんや

 

人の言葉を聞きながら、

その人の瞳を観察すれば、

その人は胸中を隠し通せるものではない。

 

携帯電話を持っていないと

不安でしかたがないという人が増えている。

電話とメールでしか人との繋がれなくなる。

人とのコミュニケーションは、

瞳が中心になると孟子は教える。

瞳に心が表れている・

子供の瞳は澄んでいる。

穢れない心を持っているからである。

人の顔を見ずに話をすることは、

心に何かやましさを持っていることが多い。

瞳から見透かされるのを恐れるからである。

メールは相手が目の前にいないので、

思いもかけないきつい言葉を発することになる。

相手の瞳を見ながら話せば、思いが伝えられるのに。

言葉だけで思いが伝わることは殆ど無い。

言葉を語る人の目を見て、本気かどうか

聴く人は判断するからである。

電話やメールでなく、直接会って思いを伝えるのが

本当の人と人の接し方だと思う。

自分の言葉が、発した分だけ理解されていると

思うのは早合点である。

 

記:有無相生

 

 

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