◆老子小話 VOL 419 (2008.11.22配信)
人間は考える葦ではなく、考える管なのだ。
(福岡伸一、「できそこないの男たち」)
今、ベストセラーになっている同氏の
著作「できそこないの男たち」(光文社新書)
に出ていた言葉です。
タイトルも中身もインパクトがあります。
男の中にできそこないがいるという話だと
思っていたら、男性皆が、「できそこない」でした。
生命の発生プログラムの基本仕様は女性で、
男性は、SRY遺伝子の命令を受けて、
女性を作り変えて出来上がったもの
ということが、受精から生殖器官の形成まで
科学的な説明がされています。
つまり、イブがアダムを作り出したことになる。
人間の基本構造は「管」であり、消化器官は、
管の中の穴(ちくわの穴)となる。
食物は、管を通る過程で消化され、管の内壁から
体内(ちくわ)に栄養が取り込まれる。
穴を作って利用することで、生きる力(エネルギー)を
得ることになる。
これは、老子の「無用の用」(第十一章)に繋がる。
穴の無いちくわのままなら、人間は生きていけない。
そこに穴を貫通して消化器官を作り栄養を取り込み、
行き止まりの穴を掘ることで、感覚器官や
生殖器官を作って、環境の変化に対応し、
種を繋いできたことがわかります。
その意味で、「考える管」というのは、
人間の発生の起源と老子の教えを繋ぐ
キーワードのように思えます。
記:有無相生