◆老子小話 VOL 408 (2008.09.06配信)

露の世の 露の中にて けんくわ哉

(小林一茶)

 

露というのは、朝に生まれて

夕べに消えるはかなきもの。

この世に一定で変わらないものはない。

そんな無常の世を「露」にたとえた。

この地球も、太陽系と共に生まれ、

太陽系と共に消える運命であるという点で、

「露」にたとえられる。

露も地球も、外から見ると、小さく美しい球体。

その狭い球体の中で、ひとは争いを止めない。

何もしなくても、地球は滅びる運命なのに、

ひとの害悪により、滅びる時期を早めている。

自分だけが益を得ようとして、世界全体が

害を受ける構造になっている。

ガソリン価格の高騰は、投機マネーが招いた。

一部の人の巨額な利益は多数の犠牲であがなわれる。

ここで芥川の「蜘蛛の糸」が思い出される。

天国に通じる一本の糸を登るひとが、後から続く者を

制止した瞬間糸が切れ、皆ともに地獄に落ちていく。

結局世界全体のパイの大きさが決まっており、

誰かが余計に食うと、その分、誰かが飢えにあえぐ。

だから富の偏りを政治が是正しないとまずい。

アメリカでは富の97%を人口の2割の富裕層が握り、

人口の8割が、富の3%を分け合っている。

仕事に見合った給料というが、

仕事はひとりでできるものではない。

皆の寄与をどのように社会的に還元するかを

政治は考えなければいけない

選挙のときだけ燃え上がる政治家は要らない。

 

記:有無相生

 

 

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