◆老子小話 VOL 407 (2008.08.30配信)
昔者子呼我牛也。 而謂之牛。
呼我馬也。 而謂之馬。
(荘子、天道篇)
昨日はきみ、我を牛と呼びて
之を牛と謂(おも)えり。
我を馬と呼べば之を馬と謂(おも)えり。
荘子の中に出てくる老子の言葉。
「きのう君がわたしを牛と呼んだとき
わたしは自分を牛と思った。
わたしを馬と呼ぶなら馬と思った。」
中国では鹿ではなく、牛なんですね。
兎に角、他人が自分をどう言おうと、
何も気にすることはないと教えている。
牛じゃないと反論すると言い争いが始まる。
ひとが自分をそう呼ぶなら、
そういう風に見えたのが実質であり、
人の感覚を否定してみても始まらない。
その言葉にこだわれば心乱される。
無心に受け容れると、外から見た
「真の自分」が見えるはず。
内なる自分に見えない自分である。
「私を動物にたとえると何に見えますか?」と
ひとに聞いてみるのもよい。
答えが何であれ、「そうなんだあ」と思いましょう。
記:有無相生