◆老子小話 VOL 399 (2008.07.05配信)

恋さまざま 願の糸も 白きより

(蕪村)

 

七夕にちなんだ句をお届けします。

「願いの糸」は、七夕に女子が

五色の糸を竹ざおにつけ

織姫星に願った、その糸をいう。

そしてその願いは三年以内にかなうという。

乙女の恋ごころは今も昔も変わりません。

老荘的に見て、この句のすてきな所は

「白きより」と思います。

恋はひとそれぞれ違うでしょうが、

「素直な気持ち」から始めないと

上手く成就しないよという経験者からの

アドバイスかもしれない。

「白きより」は、五色の糸のもとになる

白い糸から全てが始まっている意味です。

老子第二十八章の「樸(あらき)」と同じです。

樸は、山から切り出したばかりの純木。

つまり、純粋な気持ちから恋は始まり、

それを忘れると恋の道から外れる。

別に恋の道だけじゃなくて、このことは

学問でも政治でも商売でも、全ての道に繋がる。

今話題の出来事は、道に入る時の初心を忘れて

起きているようです。

蕪村の句の「恋さまざま」を「道さまざま」と

置き換えられそうです。

 

記:有無相生

 

 

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