◆老子小話 VOL 397 (2008.06.21配信)

夫小惑易方。

大惑易性。

(荘子、駢拇篇)

 

それ小惑は、方を易(か)え、

大惑は、性を易う。

 

小さな惑いは、方向を取り違えるだけだが、

大きな惑いは、自分の本性まで狂わせる。

 

「荘子の心」(于丹、幸福の科学出版)を

読み終えて、よく書けている本だと思った。

わかりやすく、説得力をもって、生きるヒントを

随処に与えてくれている。

進む方向を取り違え、本性まで狂わせた、

秋葉原の事件の青年は、大惑の人である。

方向を取り違えるのは誰だってある。

でも、取り違えを悟り、修正をかけていくのが

人間だろうと思う。

誤った方向に導いたのは家庭かもしれないが、

その方向を突き進んだのは、自己の選択である。

優劣や美醜にこだわり、大事な自分を見失うことは

誰だってある。

でも、そんな差別は、家庭や世間が植えつけたこと。

生まれた時は、皆あどけない赤ん坊である。

成長過程で、いろんな知恵を吸収して、社会に出る。

荘子は、その知恵は世間に都合よい知恵で

それに振り回されると、自分の本性を見失うという。

世間の外の大自然から教えを悟れという。

そこには何者も差別なく、

本性のままに逍遙する世界が広がる。

 

記:有無相生

 

 

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