◆老子小話 VOL 394 (2008.05.31配信)

今一以天地為大鑪。

以造化為大冶。

悪乎往而不可哉。

(荘子、大宗師篇)

 

今、ひとたび、

天地を以って大鑪と為し、

造化を以って大冶と為さば、

いずくに往くとして、よからざらんや。

 

大鑪は、鋳物を作るための大きな炉をいい、

宇宙を炉にたとえる。

大冶は、鋳物を作る偉大な鋳物師をいい、

造化(道)を鋳物師にたとえる。

人間は、どんな鋳型からどんな形に作られても、

自分の与えられた形を受け容れて生きていこうよ。

 

遺伝子は鋳型にたとえられますが、

自然の中で遺伝子組み換えを行って、

鋳物(生物)をこしらえているのが造化である。

人間は、自分の鋳型を自分で決められないので

鋳型の良し悪しを悩んでみても始まらない。

素直に受け容れて生きていけばいいでしょう

と荘子は教える。

親のいいところ悪いところを受け継いで、

次世代に受け継がれていく。

親と全く同じ鋳型(クローン)じゃ面白くないので、

親と似ているが少しずつ違うように作られる。

自然ってうまく考えられて動いている。

いろんな鋳型があるから、世界に変化がでる。

人工で組み換えを行い、役立つものだけを

選択するのが、よい道かはわからない。

 

記:有無相生

 

 

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