◆老子小話 VOL 389 (2008.04.26配信)
日鑿一竅。
七日而渾沌死。
(荘子、応帝王篇)
日ごとに一つ竅(あな)を鑿(うが)ちしが、
七日にして渾沌死せり。
渾沌(こんとん)さんは、のっぺら顔をしている。
それを見た人間が、かわいそうに思って、
のみで顔に一日に一つずつ穴を開けたら、
七日目に死んでしまった。
人の顔には、目、耳、鼻に二つずつ、
口に一つ、合計七つ穴が開いている。
その穴のお陰で、見たり、聞いたり、
嗅いだり、食べたりできる。
でも、渾沌さんに人間の楽しみを強要した結果、
彼を殺すことになってしまった。
無秩序な状態が渾沌(カオス)の生である。
その生に、人間の秩序を押し付けたからである。
子供の生もまたカオスである。
それを幼いときから大人の常識を押し付けると
子供らしさが消えてしまう。
人間中心主義は、自分の都合で自然を破壊する。
車を量産し、道路をはり巡らせ、ガソリンを消費する。
緑を切り崩して、CO2排出を増やすばかりだ。
確かに便利になるが、その分生活は苦しくなる。
作れば補修が必要になり、補修のために税金が上がる。
官僚も政治家も自分のことしか考えない。
国民のためといって、裏で権益を握り、リベートを受ける。
それが日本のカオスなのだろうか?
記:有無相生