◆老子小話 VOL 388 (2008.04.19配信)

翼翼帰鳥

相林徘徊

豈思天路

欣及旧棲

(陶淵明、帰鳥)

 

翼翼たる帰鳥は 林をみて徘徊す

豈に(あに)天路を思わんや

もとの棲(す)につきしをよろこぶ

 

先週の土曜日に、「与謝蕪村」を見に

信楽のMIHO美術館に行きました。

そこで芳賀徹氏の講演を聞き、

蕪村の句の桃源郷を知りました。

美術館も桃源郷のようなところにあり、

薄明の射すトンネルの先に現れます。

是非一度行ってみてはいかがでしょうか。

桃源郷といえば、陶淵明の「桃花源記」。

今回は、「帰鳥」の中から選びました。

人生行路をいろいろ歩んだ最後は、

もとの古巣に戻るという詩です。

実際にふるさとに戻らなくても、

心の中で戻ることもできる。蕪村のように。

すでに懐かしい人々はいないかもしれないが、

ふるさとには人々との思い出が詰まっている。

その暖かな温もりが心を落ち着かせる。

天空を自由に飛び回るあの鳥ですら、

飛び続けることはできない。

自分を産んだ地に帰り、心休める。

 

記:有無相生

 

 

戻る