◆老子小話 VOL 384 (2008.03.22配信)

不能容人者、無親。

無親者尽人。

(荘子、庚桑楚篇)

 

人を容るる能(あた)わざる者は、

親しむ無し。

親しむ無き者は、尽(ことごと)く人なり。

 

ひとを受け容れることのできない人間は、

親愛の情はない。

親愛の情のない人間にとって、

ひとは、すべて赤の他人である。

 

偽装事件に事欠かないが、

ひとや企業への信頼がなくなると、

ハイストレスの社会となる。

社会の全てが自分を騙していると思い、

裏を読んで動くことになる。

でもそれが続くと、身も心も持たない。

やはり、自分の観る目を信頼し、養うしかない。

中東のバザールでは、価格は交渉で決める。

ものを見る目を養い、まず買いたい物の値段を

自分でつけ、売り手の値段を交渉で下げる。

高度資本主義社会では、売り手が値段をつけ、

買い手はそれを信用して買う。

信用できるから、交渉する時のストレスがない。

その反面、売り手の思うように値がつけられる。

狩猟社会なら、肉の色や匂いで偽装とすぐに分かる。

今日の分業社会では、自分の五感で判断しなくなり、

感覚が退化しているようだ。

ひとを信頼できないのは、自分(の感性)を

信頼できなくなったのと関係があるかもしれない。

 

記:有無相生

 

 

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