◆老子小話 VOL 383 (2008.03.15配信)

生きがいとは、必然性のうちに

生きているという実感から生じる。

(福田恒存)

 

「人間・この劇的なるもの」(新潮文庫)からの言葉。

我々が求めているのは、自由ではなく、

事が起こるべくしておこっていることであり

歴史の舞台に登場して、何らかの

役割をつとめているという実感であるという。

人間は、浮遊するより安定を求めるようだ。

現在進行形である人類の歴史という枠に

ピッタリおさまりたいという安定感である。

宇宙全体も、ある法則に従って動いている。

その宇宙の中で、人類は一瞬の劇を演じている。

自分の運命をその大きな自然の流れに

ゆだねれば、どのようなことが起ころうとも

与えられた役割から逃げることはない。

自分の人生を振り返っても、

「起こるべくしておこったこと」のように思える。

これは、何もせず、ただ流れに身を任せたのではなく、

何を変え、何を変えないという決断を含め

起こるべくしておこったといえる。

親から受けた教育、社会から受けた教育、

自分の学習の結果が、判断プロセスを

決めているからである。

すべてを運命論で片付ける積もりはないが、

漠として因果を感じる。

そこに、今の自分に導いた自分を動かす

歴史の力がある。

 

記:有無相生

 

 

戻る