◆老子小話 VOL 381 (2008.03.01配信)

行行失故路

任道或能通

覚悟当念還

鳥尽廃良弓

(陶淵明)

 

行く行くもとの路を失いしも

道にゆだねなば或いは能く通ぜん

覚悟してまさに還るをおもうべし

鳥尽きくれば良弓はすてられる

 

陶淵明の「飲酒」其の十七より抜粋。

人生を歩き続けるうちに、本来の路を見失う。

でも、自然のままの「道」に身をゆだねるなら、

打開の策を見出せるかもしれない。

覚悟して、原点に立ち戻ることを考えよう。

鳥がいなくなれば、優れた弓も捨てられる。

日常の仕事に追われる生活を続けると、

「何故自分はこんなことをしているのか」

という疑問をふと抱くことがある。

本来やりたかったのはこんな仕事か。

そんな時、「根に帰る」(老子、第十六章)のがよい。

根源である、初心あるいはルーツに帰ることである。

使う目的がなくなれば、大事にした人を捨てることもある。

会社では、それをリストラという。

社員には、働く道具でなく人として生きる権利がある。

捨てられる前に、自分を培ってきたものに立ち帰り、

ゼロから出発するのがよい。

それが自然の流れであり、無理のない生き方である。

 

記:有無相生

 

 

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