◆老子小話 VOL 379 (2008.02.16配信)
争先的径路窄。
退後一歩、
自寛平一歩。
(菜根譚)
先を争うの径路は窄(せま)し。
退き後(おく)るること一歩なれば、
自(おのず)から一歩を寛平す。
一歩でも先を争うとすると小路は狭くなる。
そこで一歩後に退き、先を譲れば、
自然と一歩分だけ空間ができ、
小路は広くなる。
なるほどと合点がいく言葉である。
皆が「狭き門」に集中すると人の流れが滞り、
落ち着けば順に通れるものが混乱を生ずる。
そこで、「お先にどうぞ」と一歩後退すれば、
その分だけ門は通りやすくなる。
われもわれもという気持ちからちょっと離れ、
「お先に」の余裕を持つと、皆が救われる。
“Go ahead.”と英語ではいい、日常よく使う。
言った方も言われた方も打ち解ける。
人生はマラソンである。
人より先んじても、それは一時的なこと。
競争で心身をすり減らすより、「お先」にと、
周りの景色を楽しんで走破すればよい。
「先を急ぐ」のが、時間を無駄にしないのではない。
「一歩を寛平する」ことが、人生の質を上げる。
記:有無相生