◆老子小話 VOL 378 (2008.02.09配信)

今日存ずれども

明日と思ふことなかれ。

死に至りあやうきこと、脚下にあり。

(正法眼蔵随聞記)

 

道元禅師の言葉を綴ったもの。

人間の一生は、連続性では語れない。

今日在ったものが明日無くなるかもしれない。

わが身も又同じこと。

ある時点で、生命の線はぶつっと切れる。

死や危険は常に足元にある。

多くの人が死や危険を意識せず、

日常に追われ何気に時間を送る。

しかし、それらに直面したとき、

脚下の現実を知る。

中国製冷凍餃子事件は、食の安全の

大切さを教えてくれた。

人間は生き物である。

口に入れた物から、生の糧を吸収する。

毒入り餃子を食えば、死に直面する。

道元の言葉は、この現実を常に認識し、

今日の一瞬の時間を充実せよという。

それが修行という。

時間は無駄に過ぎ去らない。

無駄にするのは人である。

「あるはずのないこと」が起こるのが現実で、

それに動じないように自分を磨くのが、

充実の一瞬と言えるのだろう。

 

記:有無相生

 

 

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