◆老子小話 VOL 370 (2007.12.15配信)

問祖宗之徳澤、

吾身所享者是。

(菜根譚)

 

祖宗の徳澤を問わば、

吾身の享(う)くるところのもの

是なり。

 

祖先が残した恩恵は何かと問うならば、

それは、わが身が現在受けている恩恵となる。

長い眼で見れば、日本の文化・思想である。

武士道精神は、「義・勇・仁・礼」からなる。

義は正義、勇は勇気、仁は情け、礼は礼儀。

2007年を代表する漢字に、「偽」が選ばれた。

偽は、世の中の信頼を裏切る行いである。

牛肉偽装、賞味期限偽装、年金公約偽装などなど

と偽装の連続だった。

祖先の残した「武士道精神」はどこ吹く風である。

老子は言う。「武士道が取りざたされるのは、

もっと大きなもの(大道)が廃れてきたからだ」(第十八章)

偽の蔓延は、経済優先を我々が選択したことによる。

儲かることが善であり、国民の信頼は二の次とした。

お役人も政治家も企業家も自分が儲かることだけ

を考える。 年金を自分の収入のように考える役人。

大道は、自然が自然として成り立つ仕組みを大事にする。

CO2問題は、大道を取り戻すことに解がある。

CO2排出権を金でやり取りする世界とは違う。

われわれもいずれ祖先となる。

そのとき子孫から環境破壊の責任を問われたくない。

子孫の受ける恩恵も被害も、現在の選択の結果だから。

 

記:有無相生

 

 

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