◆老子小話 VOL 369 (2007.12.08配信)

夢之中又占其夢焉。

覚而後知其夢也。

(荘子、斉物論篇)

 

夢の中に又その夢を占い、

覚めて而(しか)る後にその夢なりしを知る。

 

人生そのものが夢である。

歳とって振り返ってみれば、

夢中だったことに気づく。

夢を見ていたから、頑張ってこれた。

夢から覚めると、夢は終わる。

しかし、夢から覚めたという夢を見ているかも。

とすると、人生は夢の連続のようだ。

秀吉は、天下統一しても、己の人生を

「夢のまた夢」と詠んだ。

夢は限りなく広がり、終わりはない。

最近、心の癒しのため線香を焚いている。

線香は己の命に喩えられる。

限られた時間で確実に灰に帰す。

その間、香の煙は、龍のひげのように室内を漂う。

煙の渦は、空気の流れに乗り右往左往する。

二手に分かれたり、又合流したり。

煙は、香(命)の燃焼により生じ、

周囲に拡散し、最後に消えていく。

とすると、ひとの夢は、香の煙にあたる。

命の消滅とともに、夢は消える。

でも、消えた後も、夢はひとに受けがれ、

香が辺りに残るように、夢も何かを残してくれる。

 

記:有無相生

 

 

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