◆老子小話 VOL 366 (2007.11.17配信)
人間の眼ははるかな水平線をながめる時、
やすらぎを得るように出来ている
(アラン)
アランの「幸福論」(岩波文庫)からの引用である。
「51遠くを見よ」に書かれている。
小難しい哲学で幸福を論じるのではなく、
余計な悩み、ストレスを捨てて生きるために
どうしたらよいかを経験に基づいて綴る。
憂鬱な人は皆読みすぎである、からこの章は始まる。
あまりにも目先のことを考えるな。
思いを旅に遊ばせ、遠くを眺めるのが幸せの秘訣。
知るというのは、どんなに小さいものでも全体と
繋がっているという構造を理解することという。
目先に眼を奪われることで、
思いは自分の周りに絡みつき、
心身を次第に痛めつけるようになる。
仕事に、人間関係に疲れたとき、
海をぼうっと眺め、森の緑に身を投じるとなぜかほっとする。
その時、思いは悠久の世界に旅立っている。
そこでは、自分自身は全体(宇宙)の中の粒ではあるが、
全体と繋がっていることを感知する。
宇宙の中で、思いは自分自身から解放される。
宇宙は自分の生まれた起源である。
起源と身体が一体となることで、無に帰する。
アランの思いは老荘に繋がっていくようだ。
記:有無相生