◆老子小話 VOL 363 (2007.10.27配信)
一切有為法 如夢幻泡影
如露亦如電 応作如是観
(金剛般若経)
一切の有為法は、夢・幻・泡・影の如く
露の如く、また、電の如し。
まさに、かくの如き観を作すべし。
有為法は、現象界のことをいう。
現れては消えていく様々な現象をいう。
古人は、この世のはかなさを、夢・幻・泡・露に例えた。
方丈記は、世々につれ変わり行く人と住処を、
「よどみに浮かぶうたかた(泡)」と例えた。
それが仏教になると、刹那(一瞬)に変わる。
電は、電光であり、稲妻が光る刹那(一瞬)をいう。
影に例えられるのはどうしてか?
影は、物体が、光の進行を遮る結果できる。
光のあて加減で、いろいろな形に真理が投影される表象と
考えるなら、現象界を影に例えられるかもしれない。
人生はこのように一瞬の出来事ではあるが、
その中で夢を追い求めることで、
生きるエネルギーをもらえるように思う。
夢の対象を何にするのか?
金剛経は、「夢の如き」ものに置くなという。
不変の真理に向かって歩めと教える。
そもそも一生をかけても、
不変の真理をつかむことなどできない。
しかし、その一端を垣間見るだけでも、
人間は生きるエネルギーをもらえるのである。
大げさなことでなくてよい。
ペットを飼い始めることでもよい。
動物と言葉を交わすことで、
心の在りかに気づくかもしれない。
記:有無相生