◆老子小話 VOL 359 (2007.9.29配信)

知者不言。

言者不知。

(老子、第五十六章)

 

知る者は言わず。

言う者は知らず。

 

意味は取り立てて言わなくともわかる。

ひとは物を知り始めると、

他のひとに確かめたくなる。

子供を見ればすぐ分かる。

はやりのジョークを友達に示して

知っているか聞いてみたりする。

自分が流行に取り残されていない証に。

でも、そのジョークの面白さは理解していない。

そんな人間はよく落語に出てきたりする。

発言することと知っていることは違う。

政治家の発言力にはなかなか勝てない。

TV討論会で、ひとに発言させずに、

自分だけが言いまくる態度がそれだ。

だからといって、彼が政治を知っているかというと

そうではない。

政治をよく知る人間は、軽はずみな発言はしない。

言葉の重みを自覚すれば、

後で簡単に訂正するような発言はできない。

内閣支持率という数字が新聞をにぎわす。

発足したての内閣は何も実績を挙げていないので、

支持するもしないもない。

それをまことしやかに国民の大勢が

支持しているかのように数字を挙げる

マスコミの軽薄さに閉口する。

政治はまつりごとだが、祭りではない。

 

記:有無相生

 

 

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